原爆投下の広島が平和人材を育成

唯一の被爆国である日本。原子爆弾が投下された2都市の1つ、広島には他県に存在しない人材育成組織があります。それは「広島平和構築人材育成センター(HPC)」です。
同センターのホームページによると、平和を構築する人材育成、調査・研究事業などを実施するため、国立大学法人広島大学が2007年度に設立し、2011年度に一般社団法人となりました。外務省の委託を受け、平和構築分野におけるグローバル人材育成事業を実施しています。

プライマリー、ミッドキャリアの2コース

そもそも平和構築者とは何でしょう。高い志や強い意志を持ち、平和に貢献することに生きがいを見出して働くことに充実感を持ってくれるような人のことです。同センターでは、こうした人材を育てるため、プライマリーコースとミッドキャリアコースを設けています。
まず、プライマリーコースは国際機関で平和構築・開発分野のキャリアを積みたいという意志を持つ人を対象に、5週間の国内研修を実施します。募集するのは日本人10人、外国人10人で、日本人は1年間の海外派遣をも行います。研修費は29万7916円でそれほど高くはありませんが、TOEIC900点相当という、かなりハイレベルな英語力を求められます。ミッドキャリアコースは平和構築分野で10年程度の職歴を持つ人を対象とした1週間の研修コースです。なので、初心者は受けることもできません。

平和は1人1人の心掛け

外務省の委託を受けている手前、どうしてもプロフェッショナル向けの研修コースになってしまうようですね。ただ、例えば、地球温暖化を考える際に一部の専門家だけが頭をひねっていても成果には乏しく、市民レベルで協力してこそ最終的な問題解決に近づきます。戦争は一部の為政者の暴走で始めることもできますが、平和は1人1人の日々の心掛けで守るものかもしれません。
そうであれば、こうした専門家向けの研修の他にも、一般の方向けに専門家が語る講座なども開設してもらえると、「平和構築」の考え方がより広く普及するのではないでしょうか。